不易流行
〜変えないために変え続ける〜
株式会社ぎゅーとら 代表取締役社長 清水 秀隆
01
ぎゅーとらの創業と
これまでの歩み
とても順調だった肉屋からスーパーへ
歩みと困難
1929年に創業者である清水虎吉が大阪で牛肉店「うし虎」を創業したのがはじまりです。
1949年に現在の三重県伊勢市に「牛虎」と屋号を変え開業しました。
1958年に順調だった肉屋を2代目が「これからの時代はスーパーだ」と一念発起し、スーパーへ業態転換。
軌道にのるまでの数年間は、赤字続きだったと聞いています。近年も大なり小なりの様々な困難はありますが、
先代の苦労にはとても敵わず、敬意と感謝を忘れたことはありません。

代表取締役社長へ就任 現在に至るまで
2005年に代表取締役社長へ就任しました。
就任当時の年商は220億円ほどでしたが、まずは年商300億円を目指し奮闘しました。
数年経ったある「うるう年」のことです。決算期の最終営業日の2月29日。
奇しくもその日の売り上げで目標にしていた年商300億を達成し、従業員と共に涙したことは今でも忘れられません。
02
企業理念と
ぎゅーとらのあるべき姿

ぎゅーとらの経営
“経営”とは、企業が永続することだと考えます。
「ぎゅーとら」という会社が迎える100年、その先の100年も続けていくための礎をどう作っていくか。そのためには出店計画や設備投資といった大きな決断をする、もしくは節約をする、そういった決断こそが経営であると考えています。
ぎゅーとらの商い
私の考える“商い”とは大きく3つに区別されます。
1つめは、お客さまにとって「ぎゅーとら」があって良かったと思える会社であること。
2つめは、三重県にとって「ぎゅーとら」が役立つ会社であること。
3つめは、従業員が「ぎゅーとら」で働いて良かったと思える会社であること。
その日の売上や業績だけではなく、ぎゅーとらに関わるみなさんに喜んでいただけているか、その“喜びの量”でその会社の値打ちが決まると考えています。
例えば、ぎゅーとらでは正月三が日は営業をお休みにしています。初回は不安もありましたが、ある店舗の店長から「従業員や家族みんながすごく喜んでくれた」と嬉しい報告を受けました。
地域社会への貢献はもちろん、 地域のみなさん、従業員にとって「あって良かった」と思ってもらえる会社を目指しています。
03
ぎゅーとらの課題と
地域貢献
環境問題への取り組み
地球規模での環境問題についても、積極的に取り組みを進めています。
昨今の気候変動による異常気象については、とにかく、まず命を守ることを優先しています。従業員だけでなく、ぎゅーとらに関わる生産者の方々においても無理のないようにお願いしています。
その他、社内からの提案にも一つ一つに向き合い前向きに取り組んでいきます。
コロナ禍での地域貢献活動
世の中に影響を与えた出来事の一つに、2020年から始まった新型コロナウイルスの流行があります。ロックダウンや外出自粛が叫ばれる中、「外食はせず、自宅で食事をする」という風潮によって、お客さまの来店頻度は減少したものの一度のお買い上げがとても増えました。
しかしながら、観光地はそのようにはいきません。例えば伊勢神宮もその例外ではなく、閑散としたおはらい町を見て大きな衝撃を受け、何かできることはないか考えました。
そんな中、賞味期限間近の商品を多く抱えて困っているお土産屋さんの存在を知り、ぎゅーとらでお手伝いをさせていただくことになりました。この活動を応援してくださるお客さまも多く、販売開始から1ヶ月で全ての商品が売り切れました。
その後も飲食店のテイクアウトメニューを販売するなどし、この活動は3年間続きました。


地域貢献で得た学び
この活動でお手伝いした期間の売上は約7,500万円でしたが「仕入れ値=売値」での販売であったため、ぎゅーとらに利益はありません。逆に3年間でかかったコストは人件費・光熱費など、結果的に約700万円を持ち出す形となりました。
しかしながら、地域貢献を従業員と共にできたことが、貴重な経験となり多くの学びになったと感じています。
04
未来の
ステークホルダーに向けて
変えなくてはいけないこと、変えてはいけないこと
私が心がけている言葉に“不易流行”というものがあります。
これは松尾芭蕉の言葉で様々な解釈があると思いますが、
「不易」は変えないこと
「流行」は意識して変えていくこと
“変えないために変え続ける”
私はそう解釈しています。
変えないために今、何をすべきか
企業は生き物だと思いますので、止まったら衰退します。成長か衰退、この2択なら成長をとるしかありません。
企業が成長するためには、今何をすべきかが重要になってきます。
次の世代、その次の世代の人たちが、“この会社で良かった”、“この会社をずっと続けていきたい”と思えるような環境を作ることが、“今私がやらなくてはいけないこと”だと思っています。

株式会社ぎゅーとら 代表取締役社長清水 秀隆
1959年1月28日生まれ。
1981年3月 ぎゅーとら入社
鮮魚部に配属の後、惣菜まで全部門経験
二見店店長、ハイジー店店長(スクラップ&ビルド推進)、日配バイヤーetc
1995年3月 常務取締役
2002年4月 専務取締役
2005年3月 第5代代表取締役社長に就任
2025年1月時点 三重県内に28店舗
趣味は音楽(作詞作曲)、お伊勢さんマラソンイメージングをはじめ、多くの楽曲を提供。
ぎゅーとら店内でも季節、イベントに応じて自らの楽曲が流れる。